これまでjQueryを使いながら雰囲気でjavascriptを書いている方は多いのではないでしょうか。
そういった方々がより本格的にjavascriptを書けるようにことをゴールとしつつ、typescriptをベースに学んでいきます。
jQueryからTypescriptへ
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jQueryでいいのになぜTypeScriptを使うのか?
前回までに、JavaScriptとjQueryの基本的な使い方について学びました。しかし、なぜわざわざ新たにTypeScriptを学ぶ必要があるのでしょうか?その理由を詳しく解説します。
まず、TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットであり、JavaScriptのすべての機能を含んでいます。つまり、JavaScriptでできることはTypeScriptでもできます。しかし、TypeScriptにはJavaScriptにはない強力な機能がいくつか存在します。
1. 型安全性TypeScriptの最大の特徴の一つは、静的型チェックを提供することです。JavaScriptは動的型付け言語であり、変数の型は実行時まで確定しません。一方、TypeScriptは静的型付け言語であり、コードが実行される前に変数の型をチェックします。
この型チェックにより、コーディング中にエラーを早期に発見でき、バグの混入を防ぐことができます。また、型安全性は大規模なプロジェクトで特に重要であり、多人数で開発を行う場合や長期間にわたるプロジェクトでは、TypeScriptの型安全性が大いに役立ちます。
2. 高度な機能TypeScriptは、JavaScriptがサポートしていない一部の高度な機能を提供しています。例えば、ジェネリクス、インターフェース、列挙型などの機能があります。
これらの機能は、より堅牢で再利用可能なコードを書くのに役立ちます。また、これらの機能を使うことで、より良い設計とアーキテクチャを実現することができます。
3. ツールのサポートTypeScriptは、IDEやエディタによる強力なツールのサポートを受けています。これにより、自動補完、リファクタリング、インテリセンスなどの機能が利用できます。
これらの機能は、開発者の生産性を大幅に向上させ、コードの品質を向上させます。
以上のような理由から、JavaScriptやjQueryからTypeScriptへ移行することを検討する価値があります。次回は、TypeScriptの基本的な使い方について学んでいきましょう。
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目次
第1章 TypeScriptの基本
1.1 TypeScriptとは
1.2 TypeScriptのインストール
1.3 TypeScriptの基本的な文法
1.4 TypeScriptの型システム
1.5 TypeScriptとJavaScriptの違い
第2章 TypeScriptでの開発環境の構築
2.1 Node.jsとnpmのインストール
2.2 TypeScriptのコンパイラの設定
2.3 パッケージ管理とモジュールバンドラ
第3章 TypeScriptの基本的な型
3.1 プリミティブ型
3.2 オブジェクト型
3.3 配列型
3.4 タプル型
3.5 列挙型
3.6 AnyとUnknown型
3.7 VoidとNever型
第4章 高度な型と型操作
4.1 ジェネリクス
4.2 ユニオン型とインターセクション型
4.3 リテラル型
4.4 型ガードと型アサーション
4.5 型エイリアスと型推論
第5章 TypeScriptの高度な機能
5.1 インターフェース
5.2 クラスとオブジェクト指向プログラミング
5.3 デコレータ
5.4 名前空間とモジュール
5.5 非同期プログラミングとPromise
第6章 TypeScriptとフレームワーク
6.1 TypeScriptとReact
6.2 TypeScriptとVue.js
6.3 TypeScriptとAngular
第7章 TypeScriptのベストプラクティス
7.1 コーディングスタイルとリント
7.2 テストとデバッグ
7.3 パフォーマンス最適化
7.4 プロジェクト管理とビルドツール
第8章 jQueryからTypeScriptへの移行
8.1 移行のメリットとデメリット
8.2 移行の準備
8.3 移行の手順
8.4 移行後の運用
第9章 TypeScriptの未来
9.1 TypeScriptの進化
9.2 TypeScriptとWebAssembly
9.3 TypeScriptとデノ
9.4 TypeScriptのコミュニティ
第10章 終わりに
10.1 本書のまとめ
10.2 さらなる学習リソース
10.3 最後の言葉
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1.2 TypeScriptのインストール
TypeScriptを使うためには、まずTypeScriptのコンパイラをインストールする必要があります。TypeScriptのコンパイラはNode.jsのパッケージとして提供されているため、Node.jsとnpm(Node Package Manager)がインストールされていることが前提となります。
Node.jsとnpmがまだインストールされていない場合は、公式ウェブサイトからダウンロードしてインストールしてください。
Node.jsとnpmがインストールされたら、次にTypeScriptのコンパイラをインストールします。以下のコマンドを実行して、TypeScriptのコンパイラをインストールしてください。
$ npm install -g typescript
このコマンドにより、TypeScriptのコンパイラがグローバルにインストールされます。-g
オプションは、グローバルにインストールするためのオプションです。
インストールが完了したら、以下のコマンドを実行して、TypeScriptのバージョンを確認してみましょう。
$ tsc --version
このコマンドにより、インストールされたTypeScriptのバージョンが表示されます。バージョンが表示されれば、TypeScriptのコンパイラのインストールは成功です。
以上で、TypeScriptのインストールは完了です。次回は、TypeScriptの基本的な文法について学んでいきましょう。
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1.3 TypeScriptの基本的な文法
前回はTypeScriptのインストール方法について学びました。今回は、TypeScriptの基本的な文法について学んでいきましょう。
1.3.1 変数の宣言と代入TypeScriptでは、変数を宣言するためにlet
とconst
を使用します。let
は再代入可能な変数を宣言するために使用し、const
は再代入不可能な変数、つまり定数を宣言するために使用します。
let name = "John";
const age = 25;
1.3.2 関数の宣言
TypeScriptでは、関数を宣言するためにfunction
キーワードを使用します。また、アロー関数も利用可能です。
function greet(name: string): void {
console.log(`Hello, ${name}!`);
}
const greet = (name: string): void => {
console.log(`Hello, ${name}!`);
}
1.3.3 クラスの宣言
TypeScriptでは、クラスを宣言するためにclass
キーワードを使用します。クラス内部には、プロパティとメソッドを定義できます。
class Person {
name: string;
age: number;
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name;
this.age = age;
}
greet(): void {
console.log(`Hello, my name is ${this.name} and I am ${this.age} years old.`);
}
}
以上がTypeScriptの基本的な文法です。次回は、TypeScriptの型システムについて学んでいきましょう。
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1.4 クラスのconstructorについて
前回、TypeScriptの基本的な文法について学びました。特にクラスの宣言について見てきましたが、その中でconstructor
という特殊なメソッドについて触れました。今回は、このconstructor
について詳しく見ていきましょう。
constructor
は、クラスがインスタンス化される際、つまり新しいオブジェクトが作成される際に自動的に呼び出される特別なメソッドです。そのため、クラス内で定義した変数(プロパティ)の初期化など、オブジェクトが作成されるときに必要な処理をこのconstructor
内に書くことが多いです。
class Person {
name: string;
age: number;
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name;
this.age = age;
}
}
上記のコードでは、Person
クラスにname
とage
という2つのプロパティがあります。そして、constructor
がname
とage
という2つのパラメータを受け取り、それぞれをthis.name
とthis.age
に代入しています。
ここでのthis
は、作成されるオブジェクト自身を指します。つまり、this.name = name;
という行は、「作成されるこのオブジェクトのname
プロパティに、constructor
の引数として渡されたname
を代入する」という意味になります。
それでは、実際にPerson
クラスのインスタンスを作成してみましょう。
let john = new Person("John Doe", 25);
このコードでは、new
キーワードを使ってPerson
クラスの新しいインスタンス(オブジェクト)を作成しています。その際、Person
クラスのconstructor
に定義されたパラメータに対応する値(この場合は"John Doe"と25)を引数として渡しています。
このとき、constructor
が自動的に呼び出され、this.name = name;
とthis.age = age;
という行により、作成されるオブジェクトのname
プロパティには"John Doe"が、age
プロパティには25がそれぞれ代入されます。
以上が、クラスのconstructor
についての基本的な説明です。constructor
はクラスの中心的な部分であり、オブジェクト指向プログラミングの理解にも重要な役割を果たします。次回は、TypeScriptの型システムについて学んでいきましょう。
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1.5 TypeScriptの型システムについて
前回、TypeScriptのクラスとそのconstructorについて学びました。今回は、TypeScriptの型システムについて詳しく見ていきましょう。
1.5.1 型とは型とは、変数や関数の戻り値、引数などが取りうる値の種類を指します。TypeScriptでは、JavaScriptの動的型付けに加えて、静的型付けの機能を提供しています。これにより、コードの品質を向上させるだけでなく、開発者の生産性も向上します。
1.5.2 基本的な型TypeScriptでは、以下のような基本的な型が提供されています。
-
number
: 数値型。整数や浮動小数点数を表すことができます。 -
string
: 文字列型。テキストを表すことができます。 -
boolean
: 真偽値型。true
またはfalse
の値を表すことができます。
これらの型を使用して、変数を宣言することができます。
let age: number = 25;
let name: string = 'John Doe';
let isAdult: boolean = true;
1.5.3 関数の型
関数に対しても型を指定することができます。関数の型は、引数の型と戻り値の型から構成されます。
function greet(name: string): void {
console.log(`Hello, ${name}!`);
}
上記のコードでは、greet
関数はstring
型の引数を1つ取り、何も返さない(void
型)ことを示しています。
オブジェクトに対しても型を指定することができます。オブジェクトの型は、そのプロパティの型から構成されます。
let person: {name: string, age: number} = {
name: 'John Doe',
age: 25
};
上記のコードでは、person
オブジェクトはname
プロパティがstring
型、age
プロパティがnumber
型であることを示しています。
以上が、TypeScriptの型システムについての基本的な説明です。次回は、TypeScriptの高度な型について学んでいきましょう。
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今回の内容
1.6 TypeScriptの高度な型について
前回、TypeScriptの基本的な型について学びました。今回は、TypeScriptの高度な型について詳しく見ていきましょう。
1.6.1 Union型Union型は、2つ以上の型を組み合わせた型を作成することができます。これにより、変数が取りうる値の範囲をより詳細に制御することができます。
let id: number | string;
上記のコードでは、id
変数はnumber
型またはstring
型の値を取ることができます。
Literal型は、変数が取りうる値を具体的な値に制限することができます。これにより、特定の値のみを許可する変数を作成することができます。
let dayOfWeek: 'Sunday' | 'Monday' | 'Tuesday' | 'Wednesday' | 'Thursday' | 'Friday' | 'Saturday';
上記のコードでは、dayOfWeek
変数は曜日の名前の文字列のみを取ることができます。
型エイリアスは、新しい名前を既存の型につけることができます。これにより、複雑な型を簡単に扱うことができます。
type Person = {
name: string;
age: number;
};
let john: Person = {
name: 'John Doe',
age: 25
};
上記のコードでは、Person
という名前の型エイリアスを作成し、それを使用してjohn
変数を宣言しています。
以上が、TypeScriptの高度な型についての基本的な説明です。次回は、TypeScriptのジェネリクスについて学んでいきましょう。
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1.7 TypeScriptのジェネリクスについて
前回、TypeScriptの高度な型について学びました。今回は、TypeScriptのジェネリクスについて詳しく見ていきましょう。
1.7.1 ジェネリクスとはジェネリクスは、型の再利用性を高めるための機能です。ジェネリクスを使用すると、異なる型で動作する一連の関数やクラスを一つにまとめることができます。
1.7.2 ジェネリクスの基本的な使用方法ジェネリクスは、関数やクラスの定義時に型パラメータを指定することで使用します。型パラメータは、通常大文字のT
を使って表します。
function getArray<T>(items : T[] ) : T[] {
return new Array<T>().concat(items);
}
let numArray = getArray<number>([1, 2, 3, 4]);
let strArray = getArray<string>(["hello", "world"]);
上記のコードでは、getArray
関数はジェネリクスを使用しており、任意の型T
の配列を受け取り、同じ型T
の配列を返します。getArray
関数を呼び出す際には、具体的な型(この場合はnumber
とstring
)を指定します。
ジェネリクスは非常に柔軟な機能ですが、あまりにも自由度が高すぎると型安全性が損なわれる可能性があります。そのため、TypeScriptではジェネリクスに制約を設けることができます。
interface Lengthwise {
length: number;
}
function loggingIdentity<T extends Lengthwise>(arg: T): T {
console.log(arg.length);
return arg;
}
上記のコードでは、loggingIdentity
関数はLengthwise
インターフェースを満たす型T
のみを受け入れます。
以上が、TypeScriptのジェネリクスについての基本的な説明です。次回は、TypeScriptの高度なジェネリクスについて学んでいきましょう。