第十章: 対立遺伝子とポリジェニック遺伝における各遺伝子の役割
10.1 対立遺伝子の役割
対立遺伝子とは、同じ位置に存在する遺伝子の異なる形態を指します。これらは、個体の特性を決定する上で重要な役割を果たします。対立遺伝子は、一対存在し、その一方が他方よりも優勢な場合、その特性は優勢な遺伝子によって決定されます。例えば、花の色を決定する遺伝子が赤色を示す遺伝子と白色を示す遺伝子の対立遺伝子で、赤色が優勢ならば花の色は赤色になります。
10.2 ポリジェニック遺伝における各遺伝子の役割
しかし、すべての特性が一対の対立遺伝子によって決定されるわけではありません。ポリジェニック遺伝とは、特性が複数の遺伝子によって決定される現象を指します。これらの遺伝子は、それぞれが特性に対して小さな影響を及ぼすことで、合わせて一つの特性を形成します。
例えば、人間の身長は、複数の遺伝子によって決定されます。それぞれの遺伝子が少しずつ身長に影響を及ぼし、それらが合わさることで最終的な身長が決まります。これは、一つの遺伝子が大きな影響を持つモノジェニック遺伝とは異なります。
10.3 遺伝子の相互作用
ポリジェニック遺伝では、遺伝子同士が相互作用を持つこともあります。これは、一つの遺伝子の影響が他の遺伝子の影響によって増幅されたり、減少したりすることを意味します。これにより、遺伝子の組み合わせが特性に与える影響は、個々の遺伝子が単独で与える影響よりも複雑になります。
10.4 環境と遺伝子の相互作用
さらに、遺伝子の影響は環境によっても変わります。特に、ポリジェニック遺伝においては、各遺伝子が微妙に環境に反応するため、特性全体としての反応が大きくなります。これは、遺伝子と環境の相互作用が特性に影響を与える一例です。
10.5 まとめ
この章では、対立遺伝子とポリジェニック遺伝における各遺伝子の役割について詳しく見てきました。対立遺伝子は、一対存在し、その一方が他方よりも優勢な場合、その特性は優勢な遺伝子によって決定されます。一方、ポリジェニック遺伝では、特性が複数の遺伝子によって決定され、それぞれの遺伝子が特性に対して小さな影響を及ぼします。これらの遺伝子は、個々には小さな影響しか持たないかもしれませんが、組み合わさることで大きな影響を及ぼします。また、遺伝子の影響は環境によっても変わります。